銀河鉄道 Another Journeys レドリルアドベンチャー

−前回のあらすじ−
 機械の体を求めて旅立ったレドリル少年。
 惑星グレインで999号に乗り，ただで機械の体をくれる星へと向かうのだった。


第011話 凍てつきのハデス その1

漆黒の闇の中を駆け抜ける999号。

フォォォォォォォ…………

もうもうと煙を吹き出しながら，進んでいく。

(車内)

ガラガラガラガラ。

車掌　　「えー，次の停車駅は惑星ハデス。停車時間は1時間11分です」

タッタッタッタッタッタ……。

レドリル「しゃ，車掌さん……」

呼び止める声に反応して，車掌は立ち止まった。

車掌　　「はい，なんでしょう?」
レドリル「な，なんか，ささ寒いんだけど……(ガチガチガチ)」

レドリルは丸くなりながら，震えている。

車掌　　「申し訳ありません，お客様。車内の温度調整がうまく働かないようでして」
レドリル「この前の駅で直したってメーテルが言ってたけど…(ブルブル)」
車掌　　「……そのはずなのですが，なぜか動かないのです。ハイ」

ガラガラガラガラ。その時，扉が開いて，メーテルが入ってきた。

メーテル「レドリル，いいものを持ってきたわ」
車掌　　「おや?」
メーテル「あら……」
車掌　　「メーテルさま，それはどこから……」
メーテル「……寝台車よ…………^^;)」
車掌　　「いけませんねぇ。たとえメーテルさまでも，それは寝台車のお客様のための布団ですから……
　　　　　といいたいところですが，この場合仕方のないことでして，私としては見なかったことに……。
　　　　　それでは職務に戻りますです。ハイ」

タッタッタッタッタ……ガラガラガラガラ。

メーテル「ふふ，車掌さんって，ああ見えて意外と融通がきくのよ」
レドリル「メ，メメメーテル…，はやはやく布団……」

メーテルはレドリルに布団を手渡した。
レドリルはさっと布団にくるまり暖をとった。

フォォォォォォォォォ…………

前方に惑星が見えてきた。そう大きくない星だ。
その表面は氷で覆われ，大気のところどころには厚い雲が漂っていた。
999号はその雲の間隙を抜けて，降りていった。

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ…………

駅にとまった999号。その駅は，氷で出来た美しい駅だった。

レドリル「うわぁ，すごい!! すごい綺麗な駅だ!!」

そう叫ぶと，レドリルは999号を降りようと駆けていった。
それを見かけた車掌がレドリルに向かって叫んだ。

車掌　　「あ，レドリルさん，発射時間に遅れないようにしてください〜!!」
レドリル「わかってる，わかってるよ。ちゃんと時間までに戻るよ〜」
車掌　　「あああ，わかってらっしゃるのでしょうか……はぁぁ……」

レドリルと同じく降りようとしたメーテルが車掌に言った。

メーテル「大丈夫……。私からも説明しましたし……それに，私がついていきますから……」
車掌　　「は，はぁ。お気を付けください，メーテルさま……」

そう言うと，車掌は通路をふさいでいた自分の体を端へ寄せて，メーテルが通れるくらいのスペースを確保。
メーテルはありがとうと言わんばかりの笑顔で微笑むと，列車を降りていった。



寒さに震えていたレドリルは

いつのまにか寒さを忘れていた。

彼の持つ好奇心がそうさせたのか

それは彼にしかわからない。




−次回予告−
はしゃぐレドリルは，惑星ハデスの違和感に気が付いた。
そこで彼が見たものは…そこで彼がであった人とは…!?
次回，第012話は「凍てつきのハデス その2」をお送りします。