船に乗ってバロンへ向かうことになった。俺としてはローザを救い出すため、それだけの理由だ。クリスタルとかそんなの関係ねぇ。まず第一にローザだ。これ重要。俺にとってもう信じられるのはローザと、一応あとこいつらだ。だからローザを救い出す。
そして次にローザだ。救い出して、ローザと一緒に逃げる。誰も知らないところへ、二人で一緒にだ。そして最後に、ローザだ。二人でひっそり暮らすんだ。もう誰にも邪魔されないところで。クリスタルなんかもうどうでもいい。
……なんてこと言ったら、フクロ叩きにあうんだろうな。
その後、船でバロンに向かっていたことまでは覚えてる。途中でリヴァイアサンに襲われて、そこで記憶がプツリと消えた。
気がついたらどこかの海岸で倒れてた。こんな重い鎧を装備して、よく沈まずに漂着できたと思う。運がいいのか悪いのか。いっそこのまま死んでれば楽だったかもしれないな。
まわりを見渡すと誰もいない。みんないなくなって、俺一人だ。また孤独になってしまった。
このままではどうしようもないので、近くの町へ行く。どこかで見たことある風景だと思ったら、ミシディアだった。少し前に襲った町だから、入るかどうか迷ったが、背に腹は変えられない。まわりの目線がかなり痛い。たまに話し掛けてもカエルにされてしまう。自業自得とはいえ、今の俺にはかなりこたえる。そろそろいいかげんへこたれそうだ。
町の人はまともに会話が成立しないので、長老と話をしてみた。意外と話のわかる人だったが、とりあえず試練の山へ行かされることになった。バロンが遠いな。一応、ガキだが2人の魔道士をつけてくれた。俺1人じゃどうしようもないからありがたい。なんか人の温かさを感じたの、久しぶりだ。まだ俺がんばれそう。