ファブールへ向かっている途中、ホブス山の山頂付近で辮髪(べんぱつ)のキタキタおやじに出くわした。特に妙な踊りをすることもなく、軽やかにボムなどを蹴散らして顔に似合わずかなり強いおやじだった。いろんな意味で衝撃だ。
マザーボムが出てきたのでこちらに飛び火するのもヤバいと思い加勢したのはいいのだが、へなちょこ王子は隠れてどこかに消えるし、マザーボムはカウントダウンで大爆発するし、俺は俺で戦闘不能になっちまうし、敵にとどめをさしたのはキタキタおやじだし、何も活躍できなかった。俺はローザに生き返らせてもらうだけで精いっぱい。俺はいつの間にかパーティのお荷物か。やってられねぇ。
キタキタおやじとともにファブールへ向かうことになったのはいいのだが、このままじゃ俺のパーティ内の立場が無い。おやじは、こちらの事情に巻き込むわけにはいかない、と言うけれど、こちらは俺がこんなんだからローザやリディアも完全におやじをあてにしてる。流れ的に行かなきゃならない雰囲気だし、俺としては巻き込まれたくないんだよ。ギルバートはギルバートで、どこかに隠れてた割にやる気まんまんだし。あいつ、ヘタレのくせにどこからそのやる気が出てくるんだ。口だけはベジータだな。
ファブールへ着くと、間髪入れずにバロン兵たちが攻め込んできた。相変わらず容赦ない。少しは休ませて欲しい。女性陣は今回戦闘に参加しないので少数精鋭で戦うのだが、まともな回復役もなく終始おされぎみでクリスタルルームまで攻め込まれてしまう。
そこへカインが現れた。
こいつどこでナニをやっていたのかと思ったが、どうやら王に寝返ったようだ。いつから裏切っていたか知らないが、こいつも俺が邪魔なようだ。確かに俺がいなきゃ、ローザとよろしくできるもんな。結局、後からあらわれたゴルベーザと名乗る全身鎧男にクリスタルとローザを奪われてしまった。絶望した。俺の不甲斐なさに絶望した。