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ツッコミ日記 Encylopedia


[勉強] 2009/01/15 幸せの黄色いゴム状硫黄 [長年日記]

2009年02月28日 10:55更新

幸せの黄色いゴム状硫黄

記憶って儚いものですね。知識にしても知恵にしても、脳のいろいろな引き出しにしまいこんだはずなのに、その引き出しを開けることも、どこにあったかもわからなくなってしまっているものがある。微分積分や代数幾何など面白い設問があっても、解き方すら思い出せない。

中学の時だったか、クラスで卒業生の話を聞く機会があり、その中で「方程式の解き方を忘れてしまった」というような話をしていたと記憶しています。その時の自分は「そんな訳ない(笑)」と心の中で思ってはいましたが、今となってはまさにその通りであると言わざるを得ません。やはり使われない記憶はどんどんと奥底に沈んでしまうようです。やはり知的好奇心を常に持って、頭を使い続けなければダメですね。

知的好奇心といえば、幼少のころは「あれは何?」と所かまわず聞いて親を困らせていたようです。酒が入ると親がそういう話をしだすのですが、山下公園でキスしてる男女をじーっとみつめて「なんでキスしてるの?」と聞いたというのを耳にタコができるくらい聞かされています。よほど印象に残っているのでしょう。そういうときにだいたいセットで聞かされるのは、魚屋でマグロの切れ端をもらってオヤツに食べていた(医者に「あまり生ものを食べさせないでください!」と怒られた)とか、銭湯にあった大きな時計で時間を言い当ててたとか、そういう話。番台のおばちゃんが長い棒かなにかでさして「これは?」と聞いては私が何時か言い当ててジュースをもらっていたらしい。山下公園の話はいつごろの話かはわかりませんが、魚屋と銭湯については大船に住んでいた頃なので、おそらく2歳くらいの頃だと思います。

親はさもすごいことであるかのように話をするのだけれど、時計って数字が12個しかないから興味を持った子供ならあっという間に覚えてしまう。子供に興味が宿ったときの潜在能力をなめちゃいけませんぜ。そうやって突っ込んでみると、ローマ数字を読めたと言い出すわけですよ。何も知らない子供にとって、算用数字だろうがローマ数字だろうが形の違う記号に過ぎないわけで、それと数との繋がりさえ覚えればどちらも同じであり、ローマ数字が難しいと感じるのは新しく別の何かを覚えなければならない大人側の感覚なのだと思うわけです。あまり突っ込むと親がいじけるので突っ込まないようにしていますが。

そんな幼少の私は今の言い方で言うとインドア派だったようで、外で遊ぶよりも家の中で遊ぶほうが好きだったようです。本やジグソーパズルを好んでいたようです。ジグソーパズルは今はやってませんが、時間を気にしなくていいなら、延々とやってるでしょうね。基本的にパズルの類は好きですから、クロスワードやらあの手のも好きだったりしますし。ただ、今はやりませんけどね。やるとね、そればっかりやってるから。終わるまでやりたい病になってしまうので、あえてやらないのです。三つ子の魂百までとはよく言ったもので、その頃の興味というのは大きくなっても基本的にそのままスライドしてますね。

本と言えばもう少し大きくなってから買ってもらったものだと思いますが、学研の図鑑、特に「海」「宇宙」「化学」がお気に入りでした。

「海」は中でも深海に興味を示し、深海の不思議な形をした生き物などを見ながら、すげぇと思っていました。「宇宙」は木星の大気で作られてる地球より大きな大赤斑とかね、天王星の自転軸の無茶な傾きとかね、赤色巨星の半端ないスケールとかね、ブラックホールが神秘と浪漫の塊に感じちゃったりね、もうたまらんです。「化学」 は物質のいろいろな状態、結晶やら液体やら……そういうのを見せられて、身近な当たり前のように思ってた世界も実はこんな原理で……みたいな感じで、宇宙とは対照的に身近すぎる世界の有り様を見せられて興味をそそられました。

そんな化学も目の前に突きつけられた事実をどう解釈するかは結局のところ人間であるので、解釈の仕方によっては事実が真実ではなくなることがあります。それまで正しいとされてきたことが、ちょっとしたことが原因で実は間違いでしたというのは十分にありうることです(中には、説明の都合上、あえて嘘をつくこともありますが。義務教育の理科とか)。

今回、そういったことがありました。

掘り出しニュース:高専生お手柄! 実験で教科書定説覆す 09年度版から修正へ - 毎日jp(毎日新聞)

硫黄は単体でもたくさん取れる代物で。多くの安定した同素体を持っており実験で簡単に作れたりするので教科書では比較的多く書かれます。そんな硫黄の同素体の1つであるゴム状硫黄は、それまで褐色であることが常識でした。高校の頃もそう習いましたし普通に教科書にもそう書かれ、実験でも褐色のゴム状硫黄ができるので疑いようもなかったです。それが、実は「黄色」が本来の色だったというのを見つけた高専生がいて、正直驚きでした。なかなか痛快です。

結局、不純物(鉄など)が原因で褐色になっていたため、純度が高い場合は黄色になるというわけですが、99%付近で褐色か黄色かでわかれるようです。まぁ、ゴム状硫黄作るのにわざわざそこまで純度の高い硫黄を使わないでしょうからねぇ。2009年度の教科書は修正されるようですが、黄色ありきで不純物で褐色を呈すると書くか、褐色と書いてから純度が高いと黄色と付け足すか、どちらを選ぶかは教科書なり参考書なりを作る側の良識がが問われますな。

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