朝、仕事行く前に朝ズバやらとくダネやら見てますが、2008年はひき逃げ事件を取り上げることが比較的多かったように思えます。2008年後半は都道府県別の交通死亡事故やひき逃げ件数などもあわせて報じており、ひき逃げ件数が大阪が1位だったこともあり、大阪はひき逃げが多いのだなぁ、と思わずにはいられないような状況でした。そういう風に思わせるのも、テレビ(この場合はマスコミと言ったほうがいいのかな)的な演出かもしれません。なぜなら、たぶん、大阪のひき逃げ事件、新聞配達の中学生がひき逃げされて数km引きずられたのと、会社員がひき逃げされてこちらも数kmひきずられ運転手は逃げてホストになって身を隠してたのと、きっかけになったのはこのあたりに思えるので。
そんなわけで、本当に大阪ではひき逃げが多いのか? と思ったので、ちょっと調べてみました。
今回利用した統計情報は、警察庁が公開している資料の中で、「平成19年中の交通事故の発生状況」、「府県別 ひき逃げ・無申告事件 発生・検挙件数」から。
まずはマスコミが取り上げることの多い、都道府県別の交通事故発生件数のランキングと、死亡者数ランキングと、ひき逃げ件数ランキングを一気に。
事故件数あたりを見ると、大都市圏が多いですね。死亡者数の上位は愛知や北海道だったりする。ひき逃げ件数はというと、大阪、埼玉、神奈川……となってますね。こうやって3つ並べると、事故件数に比例して他の数字も似たようなランキングになるかと思えばそうでなかったりして、なかなか面白い。
ただこのデータは単なる総数でしかなく、事故の原因が無い。なのでなぜ愛知の死亡者数が多いのかとか、大阪のひき逃げ件数が多いのかとかそういうのは見て取れない。地理的なものかもしれないし人によるものかもしれないし、数字だけから何かを見出そうとしたところで根拠の無い、差別視した意見になりかねない。そもそも、これはあくまで件数ベースの話。実際は大都市のほうが人も多いし交通量も多い。その分、事故が多くて当たり前なわけですね。だったら、基準を作ってそろえてしまえば実際のランキングが見えてくるんじゃないですかね。
ってことで、まずは事故件数を人口をそろえて算出してみました。
この表は、人口1000人あたりの事故件数です。
意外なことにトップは香川県で2位以下より少し引き離した形になっています。人口に対する事故件数は大都市ではさほど高くなく、特に総件数でトップだった東京では人口当たり件数でトップの香川県に比べて半数未満となっています。公共交通機関が発達してるからでしょうか。
続いて死亡者数を見てみましょうか。
この表は、事故1000件あたりの死亡者数です。この数字が多いと、死亡の割合が多いということになります。
岩手、秋田、島根がトップ3です。この3県は総事故件数でも人口あたりの事故件数でも最下位に近かったにも関わらずこの表ではトップに来てるという面白い結果になりました。事故はたいして起こってないけど、いったん起こると他に比べてよく死ぬってことになるのでしょうか。いったい岩手県で何が起きてるのでしょうか。
単純な総数でのランキングに比べて、基準を設けることでそれまで見えなかったものが見えてきています。さて、やっと本題ですが、最後にひき逃げです。さて、ひき逃げのほうはどういう結果になるでしょうか。
この表はひき逃げ率を算出してみました。ひき逃げ件数を総事故件数で割ったものです。
吹いた。
他の結果は大幅な変わりようを見せたのに、これは計算後もたいして変わってないんだもの。とりあえずこれ見てわかるのはこんなところ。
・「大阪は本当にひき逃げが多いのか?」は「YES」。
・ただし大阪以上に埼玉がダントツ。
・トップ10の半分が関東地方。
・関西地方というくくりだとひき逃げ率は高くなく、大阪が特出している。
事故にしても、それで死ぬのも、様々な要因のもとで発生しうることだけれど、ひき逃げに関しては運転手の問題ですからね。運転手の人としての資質が問われるわけです。大阪、大阪と言う前に関東の人(特に埼玉、千葉、神奈川の人)も気をつけましょう。
最後に、これら数字は、その都道府県で起きたことをあらわすものであって、その都道府県の人があらわすかどうかは別ってことだけは一応書いておきます。