チャプター09 |
ヤッタラン 30秒の賭け その1
保安局はいつでも処刑できるよう処刑場に砲台をセット,乗組員をエサに司法取引をはじめた。
ハーロックは処刑場の位置を確認し,アルカディア号を監獄惑星へ向かわせる。
止まらぬアルカディア号に対し,停船しなければ即刻処刑開始すると伝え,ついにアルカディア号はエンジンを停止した。
ハーロックは考えていた。自分が彼らを迎えに行くことは彼らにとっていいことなのか,彼らに自由に生きろと言った自分に,彼らを戦いに巻き込む権利があるだろうか…と。
しかしハーロックははじめからハラが決まっていた。
悩む副長もはじめからハラを決めていた。
ヤッタラン「ワイわな,螢。ここにいたらいずれお前えらが集まってくるやろ思て待っとったんや。ワイにしてみたら,ここを逃げ出すくらいの仕掛け作るんは朝飯前やからな」
有紀螢 「それじゃ…」
ヤッタラン「けどやめた。ここで暮らすうちに気が変わってしもたんや」
ヤッタラン「螢,キャプテンは今,この外に来てるやろか」
有紀螢 「そんなこと考えるまでもないわ」
ヤッタラン「もし今,ほんまにキャプテンが再び姿を現したんなら,それは新たな敵が現れたんとちゃうか? 螢,ひょっとしたらそれはマゾーンよりももっと恐ろしい敵かもしれん。もしそうやったらキャプテンはほんまにワイらを迎えに来るやろか。もしかしたら,一人で戦おうとするんやないやろか。あの人はワイらに自由に生きろ言うて艦から降ろしたんや。それは,捕まるのも自由,脱獄するのも自由,そして処刑されるのも自由ちゅうこっちゃ。ちゃうか?」
有紀螢 「副長……」
有紀螢 「それでも私はキャプテンはそこまで来てると思う」
ヤッタラン「ワイもそう思う。そうでなかったら,もしキャプテンがワイらの力を必要としてくれてないんやったら,生きてここを出たかて意味ないやろ。せやからな,螢……」
この第4巻はこのチャプター9と次のチャプター10がすべてですね。
このまままったりと終わってしまうんじゃないかと思ってただけに,よかったです。
ヤッタラン,かっこいいですな。
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